語末に余分な「アイウエオ」を入れていませんか?(無料MP3付き)
文字を見てすぐにわかっても、リスニングだけだと、なぜ英語は聞き取りにくいのでしょうか?
その大きな原因は、みなさんが慣れているカタカナの発音には、余分な音が入っているからなんです。この余分な音があるかないかによって、発音がかなり変わります。
カタカナ表記による余分な音は、英語が通じない理由だけではなく、聞き取れない原因にもなるのです。カタカナ通りの発音に慣れていると、実際の発音で言われても理解できなかったり、頭の中で繋がるのに時間がかかるかもしれません。
実際の発音に近づけることにより、聞き取る力も伸ばすことができます。
今回は、
・余分な音がどこに、どうして入るのか
・どうやったらより伝わりやすい発音になるのか
そのトレーニング方法をお伝えします。
カタカナの「余分の音」、聞こえますか?
まずは、リスニングテストをしてみましょう。
こちらのMP3で発音している言葉は、中学レベルの英語の基礎単語なので、皆さんはもう知っているはずです。実際の英語の発音を聞き取れるか、確認してみてください。
聞こえた言葉を書き取ることもおすすめです。また、聞き取れても、カタカナでの発音とはどう違うのか考えてみてくださいね。
みなさん、いくつ聞き取れましたか?(回答は下にあります)
聞き取れないものは、おそらくカタカナ表記の「余分な音」に関係しています。
カタカナで書くと、どうしても英語の発音からズレてしまいます。
どのような違いがあるのか、「steak」と「ステーキ」を比べて考えてみましょう。
違いはいくつかありますが、明らかに違うのは、最後の部分ですね。
英語の発音ですと、最後のKの音がはっきり聞こえないですよね。 ですが、カタカナの発音の「ステーキ」では、「キ」とはっきり発音します。
ネイティブにとって、「ステーキ」の発音は、このように聞こえます。
steak+イ
つまりカタカナには、最後に、英語の発音にはない余分な「イ」の音がついています。
なぜ「余分な音」が付くのでしょうか?
(Katakana chart 黒い文字が子音。赤い文字が母音です。)
日本語は基本的に下記の音からできています。
①「アイウエオ」のような「母音」のみの音
②「カキクケコ」のような「子音+母音のアイウエオ」を組み合わせた音
③ 「音」や「門」のような、「母音+ン」、「子音+母音+ン」を組み合わせた音
* 平仮名やカタカナの中で、「ん」や「ン」だけには「アイウエオ」の母音がついていなく、唯一のそのまま子音で終わる音です。
つまり、「ん」で終わるとき以外、日本語の言葉はほとんどいつも「あいうえお」の母音で終わります。
例えば、下記の言葉は次にくる母音で終わっています。
「さかな」→「あ」 (な=N+あ)
「うさぎ」→「い」 (ぎ=G+い)
「いぬ」 →「う」 (ぬ=N+う)
「かめ」 →「え」 (め=M+え)
「ねこ」 →「お」 (こ=K+お)
英語にも母音で終わる言葉はありますが、日本語と違い、英語は子音で終わる言葉の方が圧倒的に多いです。
しかし、カタカナは、母音で終わる言葉が多い日本語のために作られたので、「ん」以外に、子音で終わる言葉を表す方法がないのです。そのため、英語をカタカナで表現しようとすると、子音で終わる言葉でも、 全て母音の「アイウエオ」で終わることになってしまいます。
例をいくつか見てみましょう。
①
date(デート)
night(ナイト・夜)
この二つの言葉は、Tで終わりますよね。しかし、カタカナには子音の「T」のみを表す文字がなく、「デート」「ナイト」のように、「T」ではなく「ト」、つまり「T+オ」と書くことになります。
デート = date+オ
ナイト = night+オ
英語の発音により近づけるには、その余分な「お」を切り取る必要があります。
②
book(ブック・本)
shop(ショップ・お店)
この二つの言葉はいかがでしょうか?余分な母音はなんだと思いますか?
KとPで終わるはずですが、カタカナで表現するとどちらにも余分な「ウ」の音が入ってしまいます。
そのため、英語ではこう聞こえます。
ブック = book+ウ
ショップ = shop+ウ
③
dog(ドッグ・犬)
cat(キャット・猫)
この二つも子音のGと子音のTで終わるはずですよね。しかし、ここにも余分な母音が後ろについています。カタカナで表すと、このような発音になります。
ドッグ = dog+ウ
キャット = cat+オ
余分な母音、聞こえますか?最後の「ウ」や「オ」などをなくしましょう!
英語の発音をカタカナで書くことを反対している人がたくさんいるのは、これが大きな原因の一つです。私は個人的に、カタカナでもローマ字でもご自身のわかりやすい表記でいいと思いますが、カタカナは日本語を書くために作られたので、英語の発音を表現するのには限りがあるということを常に意識する必要があると思います。
* Video 、Movie、Coffeeのように、語尾に母音を入れる英単語ももちろんあります。 こういった単語は、もちろん「アイウエオ」をはっきり発音しても大丈夫です。
発音の練習問題
もしよろしければ、余分な母音を切り取る発音の練習をしてみてくださいね!
ステップ1:単語の語尾に注意して聞いてみてください。
ステップ2:単語の語尾に、余分な「アイウエオ」を入れないよう意識しながら、 ゆっくりと丁寧に発音を真似しましょう。
ポイント
・単語の語尾にあまり息を強くだしすぎずに、軽く最後の音を添えるように発音してみるといいと思います。
・実は英語では、特にT、D、K、G、P、Bで終わる単語は、最後の音をはっきり発音しない傾向があります。上級者の方、またはもっとネイティブっぽく発音ができるようになりたい方は、最後の音の口になったまま息を止める練習もおすすめです。
それでは、Repeat after me!
まずは、余分な「ウ」を切り取る練習をしてみましょう。
dog、map、stop、park、talk、game、bank、bag、ring
次は、余分な「イ」を切り取る練習をしてみましょう。
cake、steak、strike、beach
最後に、余分な「オ」を切り取る練習をしてみましょう。
start、heart、hat、old、seat、boat、gate、road、bed、hand
(ご自身のペースで聞いたり、リピートして練習したい方は、 是非こちらのMP3をダウンロードして使ってみてください。)
語尾に、無意識に母音をつけてしまうかもしれませんが、できるだけ意識して、余分な「アイウエオ」を切りとる練習をしてみてください。 練習すればするほど、体は新しい発音を覚えてくれるので、心配しないでくださいね!とにかく、意識することが大事です。
今回は、短い単語の語尾の余分な母音についてお話ししました。
次回は、より長い単語の中の余分な母音についてお話ししたいと思います。
I hope to see you all next time! Bye!
リスニングテストの回答:
bed(ベッド)、road(ロード・道)、bag(バッグ・鞄)、gate(ゲート・門)、stop(ストップ)、steak(ステーキ)、old(オルド・古い)、ring(リング・指輪)、dog(ドッグ・犬)